2013年2月19日火曜日

刃型の修正

年々、デジカメの貼り革は複雑になってきます。それについていくのは大変です。だんだん難易度が高くなるからです。難易度が高くなれば、当然難しくなります。私程度では絶対に曲げきれませんので、プロに頼みます。


例えばこのXE-1用の刃型ですけど、こんな複雑で細かい刃型を手で曲げるというのですから、一体どうやっているのか私にはさっぱり想像がつきません。


刃型を作る前にデータを作るのですが、当店ではレーザーで革をカットして、実際のカメラに合わせて寸分の狂いもない状態のデータで刃型屋さんにデータを送ります。
出来上がって来た刃型は、ほとんどデータ通りなのですが、なぜか革をカットすると微妙に合わない部分があるわけです。微妙というのは0.1mm程、もしくはそれ以下という感じです。検証してもデータ通りの刃型なのに、どうして微妙に合わないのだろうか?いつも不思議に思っていたのですが、肝心なことを忘れていました。刃型でカットすると裁断面が微妙に広がるのです。レーザーカットは垂直にレーザー光線が走りますので、裁断面が真っ直ぐですが、刃型というのはその刃先形状のため、0.6mm厚ぐらいの革をカットしたとしても、ほんのわずかですが広がります。すべて広がるのかというと、そうでもなく、広がらない部分もあります。広がらない部分がほとんどなのですけどね。また狭くなることは絶対ありません。

合わない部分は、どうするかというと、カメラの形状は決まっておりますので、刃型の方を修正するしかありません。刃先を叩いて修正するのです。叩きすぎると戻せませんので、ちょっと叩いて様子を見るという事を繰り返します。


狭い部分は広がりやすいので、刃型に穴を開けてネジを通して広がらないように固めます。

これだけデリケートな刃型ですと、油圧クリッカーは使えません。手動のMAIIIクリッカーの独壇場です。革が切れるギリギリぐらいの力で、そっと圧をかけてカットするという感じです。

まあ、簡単なことをやっているようで、なかなか面倒なのであります。というか髪の毛一本ぐらいのことを修正するという事を延々と繰り返していると、そのうちに頭の病気になるのではないでしょうか。もう狂っているかもしれませんけど。