2013年5月12日日曜日

RX1

年明けからずっと忙しくて手がつかなかったのですが、やっとRX1買いました。


何と言ってもレンズです。カールツァイス・ゾナー。
このゾナーですが、もちろんカラーもいいのですが、何と言ってもモノクロの描写が抜群で、独特の空気感というか、トーンがいいのです。レンズの評価は人によってもう様々で、良いも悪いも好みですけど、私はモノクロでパキッとしたプラナーよりも、渋い描写のゾナーが断然好きですね。プラナーはただのカラーレンズだなという気がしますが、ゾナーは地味ですがいぶし銀、そんな感じがします。
私は20代の頃、モノクロをよくやりました。暗室もあって土曜日はしょっちゅう一晩中モノクロのプリントをしていました。今は時代が変わってモノクロをやろうなどとしたら、とんでもなく金がかかるようになってしまいました。これだけデジが普遍になってしまうと、今更モノクロをやろうという気にもならないですし、今思えばいい時代だったのかもしれません。

しょうもない写真ですが、このカメラの最初の一枚で、ゾナーのモノクロがどれだけ良いか見てみましょう。


まずカラーです。多少カラーバランスをいじっております。まあしょうもない写真です。


ここで彩度を落としてみます。どうです?しょうもない写真が、一気に雰囲気満点になったような気がしますよ、私は。


ここで周囲を焼きこんでやりますと、更に画面が締まってまさにモノクロ写真になります。
画像のなかに何か魂が存在している感じさえしますね。私はそう感じます。上のカラー版ではそんな感じはあまり無いような気がします。

ではゾナーの特徴は何なんだ?と言われたら、上の写真の矢印先にある光の柔らかな雰囲気がまさにゾナーのモノクロそのもの。この部分を同じカラー写真でご覧いただくと、あら不思議、大して写真の雰囲気に寄与していないことに気が付かれるとおもいます。カラーだとこの部分は、ぶっちゃけ無くてもいいかも?という感じさえします。
同じ写真でも、カラーとモノクロではかなり違ったものになるのです。カラーで駄作でもモノクロでなかなか良い物になることもありますし、もちろんその逆もあります。ほんとうにいい写真はどっちでもいいものなんだろうけどさ。

私の記憶をたどると、(Acrosになる前の)ネオパン100プレストもしくはイルフォードHP400をD76で普通に現像して、イルフォードのマルチペーパーを3号で焼いて、周囲の焼きこみは4号。そんな雰囲気に近い気がします。
フジフィルムとイルフォードはよく使いました、安かったから。
Kodakはあまり知らないです。高かったから。
あの頃は、どんなフィルムを使うかというところから撮影者の個性がでていたのですね。ロシア製の120メーター巻き映画用フィルムをわざわざロシアから持ち帰ってきて、35mmパトローネに詰めなおして使って「どうだお前らこんな物使ったことないだろ?」と一人で悦に入っていたひねくれ者もいました、私ですけど。

これは名前だけのゾナーではなく、きちんとしたゾナーですね。


20%ぐらいでえんじ色をソフトライトでかぶせれば、コダックの何だったっけ?名前を忘れてしまったけど、モノクロプリントをセピアにする薬剤(名前を思い出せない、、、)の雰囲気になります。

カラー写真の彩度を落とせばモノクロ写真になると単純に思われている方がいらっしゃると思いますけど、そんなものモノクロ写真じゃねーよ、と私は言い張りたいです。大概画像に締りがなく、彩度がないカラー写真というような感じになります。パンクロというカラーフィルムからモノクロを焼く方法があるのですが、カラーの彩度を落としただけだとまあ適当に焼いたパンクロみたいな感じですね。

私の言っていることが嘘だと思うのでしたら、そこらへんのデジカメで撮った写真を画像処理ソフトで彩度を落としてモノクロの雰囲気が出るかどうか、一度やってみれば宜しいあるよ。大概「ああダメだ」となります。もしきちんと雰囲気が出ていれば、あなたは良いレンズを使っています。

モノクロというのは、それはまた奥が非常に深い世界なのです。私は片足突っ込んだ程度ですけど。モノクロできちっとモノクロ描写をしてくれるレンズというのが、良いレンズなのです、私はそう思います。

要するにですね、ライカは昔から「ライカを使っていてカラーしか撮ったことないんですか?プッ(笑)」と言われ、モノクロをやったことがないなどというと物の価値がわからない素人扱いを受け、猿がライカを持っているぐらいの扱いをされたものですが、カールツァイスだったらゾナーでモノクロやらなくてどうするんですか?21万円のRX1が10万円程度の仕事しかしませんよと、そう主張したいのでした。カラー写真などはプラナーに任せておけばよいのです(プラナーは良いレンズですよ、、、念のため)。

調子に乗って、もう一枚行ってしまおうか。


またしょうもない作例ですが、モノクロの背景左端あたりの、線画を描いてそれを擦ってボカしたような雰囲気がやっぱりゾナーです(二線ボケじゃね?とか失礼なことを言わないようにね、違うから)。カラーだとそれがないというかわからないです。イルフォードマルチのたしか4号ぐらい(3号標準で焼いて一段コントラストを上げて)で周辺焼きこみをすると、やっぱりこんな感じだったのを覚えていますよ。私には技術的なことは全くわかりませんが、どういう理屈でこうなるのでしょうか。よくわかりませんが、やっぱりゾナーはモノクロで独特な雰囲気を醸し出すようです。

書いているうちに、昔どうやって現像やらプリントをしていたのか、ちょっと思い出して来ました。