2014年1月22日水曜日

また機械の故障

あれこれ機械を持っていると、年がら年中とは言いませんけど、ちょくちょく故障して修理をすることになります。機械というのは基本的に壊れるのが当たり前というものなのですから仕方がありません。

今回は、油圧クリッカー。30年ものの中古で、2年前に故障してこれはもうダメかな?と諦めかけたのですが、モーターを新品に交換したら何の問題もなく復活という矢鱈目ったら丈夫な機械です。仕事で酷使される機械が、故障するとは言え30年も動くというのはすごいことですよ。つまり構造が単純なのです。

今回は、油圧の高さ調整が故障しました。
数年前に一度故障している部分ですので、故障している理由と、直し方はわかります。


毎度の事ですが、親父を呼んできて修理してもらいます。
親父もいい加減にこういうことをやらされるのが嫌だと思っているようで、見る前から「こんなもの直らんぞ」と言い張りますけど、「絶対に直るから、とりあえず機械を開けて見ろ」と無理強いしてやらせます。まあ、毎度の事です。


油圧と、多少の電線と、高さを調整するワイヤーのみというとても簡単な構造です。


高さ調整のワイヤーが切れているだけのことです。

ワイヤーが足りないだの、ワイヤーが太いだの、ゴチャゴチャ言って逃げようとするのですが、
「合わないなら、合うワイヤーをホームセンターに行って買ってこい」と一喝。結局親父もホームセンターまで行くのが面倒なので、黙ってそのまま直していました。
またもや正義が勝った瞬間です。

毎度毎度、ブツクサ言って逃げようとしても、結局
「もうご託は結構だから、俺の言ったとおりのことを黙ってやってくれれば、それでうまくいくんだよ!わかったか」
と一喝されて、結局やるんですから、はじめから黙ってやれば良いと思うんですけどね。それぐらいもう学習したらどうか?と私は思うのです。しかもちゃんと小遣いをやっているのですよ。



1時間ほどで修理完了。



見事元通り。今後もたまに故障すると思いますが、あと30年は動いてくれそうな勢いです。私が購入して6年ぐらい経過しているのではないでしょうか。お値段42万円。この機械がウチに来てから稼いだ金額を考えると42万円などほとんどタダみたいなものです。

とにかく丈夫で、良く稼いでくれて、かなり気に入っている機械なのですが、この色は何とかならないのか?と思うのです。いくら色のセンスの違いと言っても、よりによってピンクを塗るメーカーのセンスは一体何なのだろう?しかもボディの方はコクヨの事務机みたいなネズミ色ですよ。ピンク+ねずみ色のツートンカラーって一体どういう感覚なのでしょうか。中古なので、私もこの色以外選択がなかったのです。


これに限らずクリッカーというのは、どの個体を見てもたいがい個性的というか不思議な色をしています。黒ではダメなのだろうか?と思って、私がこのMAIIIクリッカーの日本輸入代理店を始める時に、日本向けは黒にして欲しいとお願いしたら、日本向けだけではなく、すべてそれまでの水色から、日本向け以外もすべて黒に変わりました。この水色も決して悪くはないのですが、塗装が剥げたところをタッチアップする時に、こういう微妙な色はホームセンターで手に入らないのです。黒のラッカースプレーだったらどこでも売っていますよね?


こんな感じで、私はカラー変更前のMAIIIを使っていますけど、長年の使用でハンドル部分の塗装が剥げてしまっております。でもこの色が手に入らないので、再塗装できないのです。

これも私がMAIIIクリッカーの正規輸入代利店をするときに購入したものですのでかれこれ5年ですね。この5年でだいぶクリッカーも広まって認知されてきたことと共に、小規模な革製品制作という分野が、ひたすら革包丁でカットするという非能率でさっぱり利益が出ないものから、刃型を使って効率的に正確なカットをして、それなりの利益を出せるというものに変化しつつあるのです。大げさな言い方かもしれませんが、MAIIIクリッカーが産業構造(家庭内手工業的革製品制作分野)に改革をもたらしているわけです。
ここで思い切ったことを言ってしまうと、ほとんどのハンドメイドで革製品を作っている業者さんは利益らしい利益が出ていません。一人親方で、5年前と同じく自宅の一室で手作りしているというのなら、客観的に見て利益が出ていないという明らかな証拠なのです。これが今までの日本の普遍的な小規模な革製品製作業。これがMAIIIが普及することによって変わってきたわけです。

サポートでMAIIIクリッカーのユーザーさんと話すことがよくあるのですが、ほぼ誰もがが一日たりとも手放せないアイテムになっています。それとなく聞いていると、どうも結構儲かっているらしい、という話しぶりが実際多いです。一日たりとも手放せない道具になれば、そのうちに無理に勧めなくても自然に2台目を持つという考えになります。

当店はもちろん2台持ちですが、ユーザー様の中にも2台目の購入という方さえ出てきています。基本的に常用の機械というのは、もし故障した時でも仕事を止めないために、余裕があれば普通に2台持つという思考が、誰に押しつけられることもなく、ごく自然にわいてくるのです。当然ですが、ウチは油圧クリッカーも2台持っています。レーザー加工機も、ミシンも2台。仕事が止まれば、機械が直るまで毎日指をくわえて売り上げゼロに耐えるなどと言うことは、普通出来ないのです。特に人を雇っていると、仕事が止まることによって被る損害は、死活問題になりかねません。

ついでに言わせてもらいますと、これは油圧クリッカーよりもさらに構造が単純ですので、5年ぐらい使っておりますが、まったく故障しません。


修理後は、高さの調整ダイヤルの位置が変わってしまうので、19mm、23.8mm、30mmの刃型の高さに合わせて目印をつけておきます。これをやっておかないと、刃型が裁断板に食い込んで、大変厄介なことになります。



さてお次は、ミシンの縫製速度を落とすための物体


アイドラープーリーというものです。これだとモーターの速度を1/3に落とせます。


ウチのミシンはサーボモーターを積んでいますので、速度はサーボモーターでいくらでもゆっくりに調整できるのですが、アイドラープーリーで速度を落とすと、理屈としては3倍のパワーが出るので(速度は1/3になります)、針の貫通力が出るのです。厚物を縫う時に重宝します。と言っても、ウチは厚物はほとんど縫わないのですが。
まぁ、ゴチャゴチャと機械に手を入れるのが好きなのです。



メインのミシンにはアイドラープーリーをつけてあるのですが(上の写真)、サブのミシンにはつけてないのです。
ミシンというのは、複数台あって踏み具合が違うと非常に苦痛なのです。本当は同じメーカーの近い型番のミシンを使って、同じサーボモーターをつけて同じ設定にすれば良いのですが、そういうわけにもいかないので、少しでも似たような設定にして近い動き具合にしたいわけです。

また親父に装着させないといかんのですが、親父はクリッカーを直したらさっさと帰ってしまいました。