2014年4月7日月曜日

マネートレイ作ってみました

たまにはカメラ関連以外のものも作らんといかんということで、頼まれたまま放っておいたマネートレイを作ってみることにいたしました。

トレーというのは立体形状ですので、また3次元モデラーの出番です。
革トレーというと、四角い平たい革の端を折り曲げて、四隅をホックで留めただけのものをよく見かけますが、ああいう技術的に何の見所もないものは、私としては絶対に作りたくないので、キチッと多少でも技術的に見所があるものを作りたいと思います。

まずモデリング。


革を表裏2枚貼り合わせで作る事にいたします。
モデリングとしては割と単純なものです。モデリングに関しては特に見所はないですが、レールをつけたところが、工夫と言えば工夫。



そして、凹凸絞り型(成形型)の削り出し。


このトレー専用に刃型を曲げます。当店では何があっても革を手でカットするなどということはいたしません。当店で「革包丁」などという言葉を出したら即ぶん殴られる、ということはありませんが、当店に革包丁などという役立たずなものはありませんよ。簡単に言ってしまいますと、あれを使うから利益が出ないのです。単純明快な理由です。

今回は割と深い立体になりますので、32mmの刃を使いました。


もうとにかく天地がひっくり返ろうが何が起ころうが絶対に革包丁を使わないというのが当店の一番重要な基本方針ですので、当然のごとく最初に大判の革から切り出すための荒裁ち用の刃型というのも専用に作ってあります。革のカットに関しては、一切の例外を認めませんので、完全に抜かりはありません。まあ何と言っても自分で曲げるだけですので、あまりコストのことを考えなくても良いです。


凹凸の型に2枚貼り合わせの革を挟み込んで圧力をかけて成形します。


なかなか美しい絞り上がりです。


カットするラインをキチッと決めるために、絞り型には刃型の刃先を合わせるラインをつけてあります。革を絞るとこのラインが革の表面に溝になってれせるわけです。革表面についたこの溝に刃型の刃先を合わせてカットします。


これがないと所定の位置に刃型を合わせると言うことが、実は難しいのです。
そしてクリッカーでカットすると、案外位置がズレたりするのです。


実に美しいカットです。毎度の事ですが、これまた抜かりなしなのですよ、ビックリだな。



余分な部分をカット。


マネートレイとしてはなかなか使いやすいサイズだと思います。


今回、一工夫なところはこの2本のレール。
このレールがあると、お札を救いやすいのです。実はそれだけが目的ではなく、これがないと平たい形状を保ちにくいのです。保形の意味合いが大きいです。

実はこのレールなしで試作しましたけどうまくいかなかったです。


裏から見るとこんな感じ。2枚貼り合わせですので、裏も革の銀面で美しいです。


レールの終端は、割と自然なカーブでつながっております。

ウチは現金の出し入れがないので、このマネートレイの使い心地がわかりません。郵便局に持って行って、しばらく使ってもらい、改良点があったら設計し直してみたいと思います。


女子スタッフに見せたら、マネートレイ意外にも使えそう、というのでペンを置いてみたら、なかなか良いサイズでした。こういうことは実際に作ってみてから気づくものですね。
ペントレーにも使えます、という頭が最初からあったら、溝を3本にしておくべきだったなと思うのでした。



そういえば、いつも発送をする郵便局なのですが、ボールペンがこんなふうに加工してあるのです。


こうやっておかないと、ボールペンがなくなるそうです。
しかし何だ、随分とみっともねぇな。もうちょっと見栄えの良いものを作ったらどうだ?と言ったら、そんな予算はないそうです。まったくしょうがねぇなあ。


今日、郵便局に行ったら、ペンに何かキャップがついてるぞ?


おお!これはなかなか格好いい。しかも郵便局名のエンボスがついている。
なかなか洒落てて、良いじゃないか。そう思いませんか?皆さんも当然そう思いますよね。

実は、俺が作ってやった(笑)


仕事の片手間に、端切れの革を使ってボチボチ作って、タダで持って行ったわけです。


何と、きちんとエンボス型まで作ってあるのです。


こんなふうにエンボス型を使って押して、当然刃型を合わせるカットラインの溝もつけてあって、


また当然のごとく刃型も作ってあるので、それでスパッとカット。


ほとんど手間らしい手間をかけずに完成。

こういう一銭の金にもならないことをやるのが、案外楽しかったりします。
今後、私の扱いが多少良くなったりするかも知れません。
「オマイら、お客さんが捨てていったレシート集めておくのを忘れるなよ」と言いふくめたのですが、やってくれません。

郵便局にも可愛い局員の女の子がいてさ、その子に「私も自分用に一つもらって良いですか?」とか言われちゃったもんで、色とりどりで作って持って行ったりしてさ、もう44歳にもなって、俺も一体何やっているんだかなぁ、と思いながら、可愛い局員の女の子に「ありがとう」と言われると、随分と嬉しかったりして、自分でもしょうがねぇなあなんて思ったりしてよ。
まあ諸君、春だな。

さすがに天白郵便局ロゴ入りを人に売るわけにはいかないので、ノーネームで良ければ5個2500円(税送料込み)。色はナチュラル、赤、ライトブルーあたりが見栄えが良いと思います。自分のロゴ入りが欲しい方がもしいたら、型の切削費用10000円ぐらいをご用意ください。

さらに、製作一式セットが欲しいなんていう方がいらっしゃいましたら、荒裁ち用刃型x1、本裁ち用刃型x1、エンボス型凹凸(ノーネーム)x1で18000円。独自ロゴはご相談。