2014年11月14日金曜日

餅は餅屋の刃型製作

当店は片手間なのですが、刃型を作る設備をいい加減ながら持っており、実際に簡単なものとか精度がそれほど必要がないものは、自分で曲げて刃型を作るというメーカー(maker)としては実に珍しいことをやっているわけですが(恐らく日本で2件ぐらい)、精度が必要なものはどうするかというと、すんなりプロの刃型屋に発注します。


今回はこんな刃型を発注。
アマチュアの方はこんなもの使わなくても全く問題がありませんが、刃型がきちんと使いこなせないのは、ちょっとそれはプロとは言えないです。専業者というのは生産性というものをいつも考えないといけないからです。それがやたら売れてしまったらどうするのか?というのは実際に売れるかどうかに関わらず最初に考えておくべき問題なのです。

効率が良い場合の生産数-効率が悪い場合の生産数=稼ぎ損ねた金額

大体ですがこういう明快な図式が成り立ちます。もしある日、実は稼ぎ損ねた金額が数千万とか億単位になっていたと気づいたら、自分のものの知らなさ加減を恨むと言うよりも、もう死んでも死にきれません。これは早く気づいた方が生涯収入が増えるのです。

実は私も「あのときこれを知らなかったので随分と稼ぎ損ねた」というのが結構あります。積もり積もれば数千万になっているでしょう。ものを知らないというのは実に時間と金の浪費だとしみじみ思うのであります。恐らく今でも、これを知らないばかりに随分と稼ぎ損ねている、というのがあるに違いありません。

さてカメラの貼り革というものは、貼る相手があるので、それに合わせないと貼り革の意味が無いのです。カメラに合ってない貼り革となると、これはもう存在意義が全くありません。


このような鋭角のカーブもきちんと図面通りに曲げてきます。
私が今の調子で10年刃を曲げたとしても到達しないレベルでしょう。このあたりはさすがに餅は餅屋で、見事なものです。キッチリ寸法通りに曲げてきます。


こちらは何も特別なものに見えないと思いますが、拡大すると以下の通り。


ポンチが9個並べてあります。
このポンチの穴開けというのが実にくせ者で、穴というのは手でポンチを打ったら9個も寸法通りに穴を開けられないのです。まず確実にズレます。というかあなた、そもそも9個もポンチでコテコテと穴を開けたいか?1セット作るだけなら9個穴を開けるのもまだ我慢が出来るけど、これが100セット200セットになると無理。結局我慢できるのは5個ぐらいまでで、その後はもう阿呆くさくて意気消沈、やる気が消え失せます。

人間は意味のない作業には決して耐えられない。



うーん、実に素晴らしい。
正確な刃型が出来てしまえば、後はMAIIIクリッカーでも油圧クリッカーでも押すだけで、いくらでも正確なカットが出来てしまいます。革のカット程度のことに職人技は要りません。こういう正確な刃型を作る方こそ賞賛されるべき見事な職人技だと言えましょう。餅は餅屋だな。

実は普通の型紙を送ってもきちんと作ってもらえません、というか職人さんも普通の型紙と寸法図だけでは本当に正確なものは作れないのです。特別な型紙を送って作ってもらいます。この特別な型紙って何だ?それは私に聞かれても「さぁ?」と言われるだけですので、ぜひ刃型屋さんと相談してください。