2014年12月5日金曜日

革割

一般の方は恐らく知らないでしょうけど、革というのは厚みを揃える必要があります。

というのは、革屋に行って「この革くれ」-「まいどあり」で買ってきても、革は厚いもの薄いもの様々で、1枚の革でも部位によって厚さが違うわけです。この厚みを一定にしないと革製品というものは基本的に出来ません。

当店でもお客様から「革を送るからカットして欲しい」というリクエストがありますが、基本的に断るのはこの厚みが揃っていない革を送られてきても困るからです。

そこで革漉きとか革割りという作業がはいります。小さなパーツでしたら革漉き機(Leather Skiver)というものを使えばいいのですが、牛半頭分を一気に漉くということは無理ですので、専門の業者さんにお願いするのです。



こういう巨大な革割機でガンガン厚みを揃えていきます。
革割りというぐらいですから、やすりで削るのではなく、文字通り2つに割っていくわけです。動画では銀面しか見えていませんが、割った残りの床面も吐き出されています。

この革割業者さんというのはそこら中にあるわけでは無く、東京、大阪、神戸、名古屋、そのほかにもあるでしょうけどそんなに数はないので、地方だと苦労します。日本の革産業の衰退につれて革割屋さんも年々少なくなっているそうです。私も大阪に革の仕入れに行って、その場で革割屋さんに持ち込んで、頭を下げて「今日名古屋に帰るので、今日中に何とかお願いします。お願いします。お願いします。」と無理を言って、そのまま持ち帰ってきます。普通は「次の日に取りに来てくれ」と言われます。ただ人に無理を言うのですから、簡単なもので良いから手土産ぐらいは持っていって心証を良くしてもらわないといけませんよ。相手様は私の無理を聞かなければいけない義理など何もなく、親切で無理を聞いてもらっているだけですから。感謝の心を忘れたらアカンですね。

この革割業者さんも上手い下手があって、下手なところに頼むと厚みが揃わないんです。割った後の状態でも端と真ん中では厚みが微妙に違うんですから驚きますよ。エンボスが入った革だと、またこれを薄く割るとなると、下手なところだと穴が空くので難しいんです。
大阪だと革の本場ですので、革割屋さんも毎日大量に革を割っているので、どこに頼んでも上手いと思います。

というわけで、世の中には需要に応じて色々な仕事があるわけです。