2015年3月30日月曜日

いつもヘリで遊んでいるようですが (トライコプター製作の解説 その1)

最近ずっとヘリコプターを作っては壊してと遊んでいるようですが、これ遊びでやってるのだけではないのです。DIYキットで出してくれというリクエストが多いのです。最近Phantom IIが流行っているので、せっかくだからマルチコプターをDIYしたいという気持ちはよくわかります。大体ウチの商品を購入されるお客様はDIYが基本的に好きな人が多いのです。
でもDIYというのは敷居が高いです。まず初めて作る場合、部品なんか何を買ったら良いのかさっぱりわかりません。適当に買って、動かないだの合わないだのやっていたら、かなり高いものについてしまいます。そんなのだったら製品を買った方が早いし安いです。

それでもDIYでマルチコプターを作りたい、という方のために、私が身を削って何十万もつぎ込んで、あれこれ試して、これで逝こうという組み合わせを試しているわけであります。

方向性は大体決まりました。

形状はトライコプター、プロペラが3つのやつ。
クアッドコプター(プロペラ4つ)やヘキサコプター(プロペラ6つ)は普通すぎて、わざわざDIYする必要性が感じられません。これは自分でベニヤや木材をカットするよりもキットを買ってきて組み立てた方が早いです。このクアッドコプターとヘキサコプターのキットはすでにサンプルを数種類、問屋に発注かけてあります。

サイズはデカいのも作りましたけど、バランスが良いのは600mmぐらいのサイズのようです。
形状はTコプター。

部品点数が少なくて、
飛びが独特で、
あまり他人が持ってない、
落として壊しても修理しやすい

というDIYに最適なマルチコプターだと思います。何と言ってもトライコプターの形状は実に妙で格好いい。地面に映る影なんか、もう最高。




形状は好みだと言うことは承知ですけど、まあ私は大好きです。


トライコプターはヨー(舵)の構造が面倒ですが、すでに簡単にできるものを設計してありますので、ヨー部分の心配はありません。

アーム(腕)はホームセンターで安く手に入る12mmの角材か、10mmのアルミ角パイプ。落として壊してもすぐホームセンターに走って材料を買って数百円で直せます。12mmの角材と10mmのアルミ角パイプを比べると、アルミの方が値段は倍しますけど、多少軽いです。高いとは言っても、そこら辺のホームセンターで1mあたり300円を超えることはないでしょう。

パーツ代金で20000円で充分収まるものを考えてます。ただ初期投資でプロポ(10000円ぐらい)、2200mahのLiPoバッテリー (1個3000円ぐらい) x 必要な本数分+LiPo充電器(5000円ぐらい)、プロペラバランサー(1000円ぐらい)が必要です。

初期投資に多少金がかかりますが、まず間違いなく1台では我慢が出来ず、そのうち数台DIYし始めると思いますので、それぐらいの初期投資は問題無いでしょう。大体高級コンパクトカメラ1台ぐらいの値段ですべて収まるから、ウチのブログをご覧になっている方なら、まず問題にならないでしょう。これらの初期投資分は使い回しが出来ます。



フライトコントローラー:KK2.15


トライコプターが設定できるボードはKK2.15, KK Multicopter, APM, CC3D, Multiwiiぐらいじゃないでしょうか。どれを選ぶかは所詮好みですが、APMは設定が複雑すぎ。MultiwiiはUnix風の設定ファイルを見ただけで嫌になりました。CC3Dは設定が簡単ですけど、PCが必要です。KK Multicopterは今度は設定項目が少なすぎ、バランスが良いのがこのKK2.15だと思います。

ボードにスクリーンがついていて、PCがなくても設定が出来ます。これがものすごく便利です。名古屋でも環状線の内側でどこに飛んでいくかわからないようなDIYヘリを飛ばせるようなところなどありません。東京大阪だとなおさらでしょうし、都市部でDIYヘリ飛ばすなど正気の沙汰ではありませんから遠くまでヘリを持っていって、設定が悪いから変更しようなどと言うとき、また家に帰るのなど馬鹿馬鹿しくてやっていられませんよ。ノートPCを持っていくのも面倒です。現地でサッと設定が調整できる、これが便利じゃないでしょうか。

ただGPSはつけられませんので、自動で帰ってきてはくれません。飛んだら自分で戻さないと飛びっぱなしなので、無茶な飛ばし方は出来ません。

HobbyKingだと22ドルぐらい(リンク)。

1000KVぐらいのモーター+1045プロペラ+30A ESC

入手しやすさでこんなぐらいが適当じゃないでしょうか。モーターとペラには一家言あるという方は、好きなもの買っていただければ良いですし、大体そういう人はすでにDIYしています。
パーツはHobbyKingで購入できるようにリンク張っておきますし、それが面倒だという方はウチで用意しますけど、ウチはフレームが売れればそれで充分ですし、その方が面倒もありません。

ESCはこのあたりの10ドル以下のもので良いんじゃないでしょうか。

詳しい設定方法とか組み立て方とかビデオとページで用意して行きたいと思います。

というわけで、フレームを格好良くモデリングしております。大体フレームとしては最終段階に入ってきています。


動物の置物を作っているわけじゃないです。
フライトコントローラーとESC、レシーバーを納めるハウジングです。
GoProも乗せたくなると思いますので、GoProを乗せるスペースも考慮しております。Mobius Action Camでも乗ります。

5.8GhzのFPVは日本では違法ですけど、電波法違反で捕まって重い罰金を払わされても、それでもFPVをやりたいという方がいらっしゃるかも知れないという前提で、一応FPV送信機とFPVカメラも装着できるようにモデリングしてあります。


ネジや接着剤を使わなくても組み立てとばらしが出来るように入れ子にしてあります。


よく墜落することが予想される(というか私は実際よく落とす)DIYコプターに高価なギンバル(カメラスタビライザー)を積みたいとは思いませんので、ブレ止めのゴムブッシュを使ったカメラ固定でやります。ギンバルが積みたいというチャレンジャーは、墜落しなくなってから各自考えていただきたいと思います。GPSのついていないDIYコプターは操縦に慣れるまでは墜落するものだと思って下さい。

滅多に墜落せず、ギンバルを積んでそれなりのものが空撮がしたいという方は、DIYコプターなどチャレンジするものではありません。Phantom IIを買った方が早いし安いです。でもPhantomを飛ばしていたら
「何だ、Phantomか (流行ならビッコでも引くやつだな、、、プププっ)
と馬鹿にされかねない風潮になるのは、もうすぐそこまで来ています。

漢だったらDIYヘリコプター。Fly like a Dreamだ。

カメラは12°下方向に傾けてあります。これはRC explorerのデータ(13.5°下向き)を参考にしました。


というわけでもうすぐだ。

大したものを作っているわけでもないのに、3Dで見せられると何となく「しっかりしたものを作っているな!」という視覚効果があります。同じものでも厚紙重ねた汚らしい試作品を見せられると「どうせ思いつきでいい加減なものを作って、口八丁手八丁で売ってやろうという腹づもりだろう」と勘ぐられるという、実に不公平なものですが、プレゼンってそういうものだよね。だから私はここで3Dのモデリング図面をチラチラと見せるのです。専門家から見れば、何だ何だ!このショボっちいのは?と思われるものでも、専門外の人から見ると
「何か図面引いてるぞ、3Dだぞ、寸法線も見えるぞ、見たこともないソフトだけど英語版だぞ、何かちょっとすごいかも知れない」
という効果が多少は期待が出来ます。すべて計算尽くでやってます。こっちの方が余程腹黒いね。
再度強調しますが、それがプレゼンというものです。


プロペラを適当に描いたら更にそれっぽくなった。じゃあモーターもだってやっていると時間がなくなりますので、これぐらいにしておきます。


飛びはこんな感じ。
スロットル操作誤って落ちて、電池切れで落として、って、すぐに傷だらけのヘリになりますけど、高い製品だとこうは行きません。落としてもホームセンターに走れば、すぐ直せるから良いんです。高い製品だと勿体無くてこんなこととてもやりたくありません。

広いところで飛ばすとかなり楽しめますよ。ギンバルなしでもパイロット目線のビデオは、自分で見て楽しむ分にはとても面白いです。低空飛行の映像も迫力あっていいよね。
それにさすがにTコプターはプロペラが一切映りこみませんので気分がイイです。


毎度のごとくレーザーカットしてフレームを作ります。


もっとたくさんパーツがグワっとあるのですが、とりあえずこれぐらい見せておきます。別に他のパーツが秘密ってことは無いのですけど。


正確な合わせが必要なところは、つまりこの場合はアームをつける位置ですが、ここをきちんと誰でも合わせられるように考えてあります。


穴に合わせてネジを突っ込んで、


ネジに合わせてアームを合わせれば、それが正確な設計通りの位置です。
これなら誰でも正確に組み立てられます、、、きっと。


よくある10mmのアルミ角パイプ、肉厚0.8mmのもの。
400mmが2本と


600mmが1本。2メーターのアルミ10mm角パイプを買ってくれば間に合いますし、1mを2本でもかまいません。
余裕を持っておりますので、1mm、2mmズレたとろろで大して問題ありません。


アルミシールをつけておきますので、白抜きでも黒抜きでも好きなように貼りつけてください。
別に強制ではありませんので、こんなセンスの悪いもの嫌だという方は、無理して貼りつけなくても良いです。


あっしはお恥ずかしながら失敗しましたけど。


これでアームの位置決めが終わりました。このまま締め付ければまず外れることはありませんが、心配な方は、アームの部分についているガイド穴に3mmの穴を開けてネジを通しておいてください。
折りたたみにする方は、右から二番目の使ってない穴を開けて、3mmのボルトを通して蝶ネジを締めておいてください。


つまりこのようにネジを通して、蝶ネジをつけます。


折りたたみ可能です。


これで割と素敵なトライコプターフレームが出来ました。磔の刑にされた骸骨そのものですね。うーん、これぞ Black Bone Tricopter。でもちょっと笑ゥせぇるすまんに似ているような気もします。

接着剤でキチッと貼りつけたい気持ちが起きるかも知れませんが、腕を折ったり曲げたりしてアームを交換するときに泣きを見ますので、接着剤は使わないでください。ネジを締めておけば充分持ちます。ただネジが緩みますので、二重ナットにして緩まないようにしておく必要はあります。


折りたたみも出来て、コンパクトになります。袋に入れて隠して持ち歩けば、電車の中でも声をかけられることはないでしょう。ラジコンヘリなんて持ち歩いていたら、もうそこら中で話しかけられて本当に嫌になります。それだけ注目度が高いアイテムなのですけど。


現状193グラム。割と軽いです。全部パーツをつけて2200のLiPoバッテリーをつけた場合でも1kgを切ります。ライトウェイト・スポーシ(≓ Light weight sports)なヘリコプターです。2200のLiPoでカメラなしなら9分飛べちゃう場合もあります。GoPro積んで6~7分というところでしょうか。

もっと軽くしようと思って、8mm角のカーボンパイプをつかって試作してみましたが、そのカーボンアームはねじれに弱すぎて、わずか3分でアームがボロボロになりました。
同じく9mm角の檜材でも試作しましたが、これも絶対に墜落しないって言うのなら持ちますけど、ハードランディング程度でもアームが逝きますので、おすすめできません。