2017年5月24日水曜日

会社にしたいけど、という相談

小さな商売をやっている関係で、周りに個人事業をされている方が結構いらっしゃいます。そんな中で事業が大きくなり始めたり、思わず利益がガツンと出たりしてしまうと、個人事業だと税金とそれに伴う国民健康保険とか国民年金がかなり上がってしまい、法人化したほうがいいかな?ということを自然と考え始めます。
というのは、税金と国民健康保険とか国民年金というが、かなり高いのです。どれぐらい高いかというと、国やら自治体から送られてくる請求書を見ると5分ぐらい固まってしまうぐらい高い。これは何かの間違いだろう?と役所の窓口に問い合わせに行くと、「間違っていない」と言われます。まあ仕方がない「甘い顔をしてすんなり払ってやるのも今回だけだぞ?」と思って何とかして払うと、実はそれで終わりじゃなくて、それが何回か来るのです。ダメ押しには予定納税という、来年見込み分の税金まで払わされ、大概ほとんど利益というのは消えてなくなります。
持って行かれるのは100万200万円ぐらいの話ではない額になり、だいたい私は結婚する前は年間100万円もあれば大して困らないような質素な生活をしていましたので、この時点でもう何でもいいからブチ殺してやりたい気分になります。
こういう思いをされている方が多いはずですので、「これは社会制度に大いに問題があるのだから、俺が革命を起こして世の中をひっくり返してやろう」とか思う人が出てきてもおかしくないのですが、事業をするような人間は現実的な人間がほとんどですので、いくら税制がおかしくても何とか上手いこと対応をしていこうとなり、革命を起こして世直しをしてやろうという方向に向かないのが現実です。それどころか、覇気のある経営者は「来年はもっと稼いで払った分を取り返してやる」という元気をだして更に頑張ってしまい、また社会負担をさせられて、ますます統治者の思う壺にハマってしまうというね、喜劇のような話になってしまうわけですけど、まあそれは人それぞれです。

おかしいなぁ?おかしいなぁ?結構稼いだはずなのにどうしてこんなに金が残っていないのだろう?狐につままれたような気分になったところで、そろそろ法人化したほうがいいのかな?と考えます。そして、周りで小さな会社を運営している人に相談してみようというのが、よくあるパターンで、たまに私のところにも相談に来られます。

ウチだと合同会社という株式会社よりも敷居の低そうな法人で、でも合同会社というのは実際のところ世間ではあまり聞かない、だから私のところに相談に来る、というパターンですね。しかしながら、合同会社って世間では認知度がちっとも上がらないね。いつも合資会社と間違えられるし、オモチャの会社もしくはなんちゃって会社ぐらいに思われます。

合同会社はどうです?と聞かれても、他の形態の会社を運営したことがないので、正直わからないですけどね。まず設立費用が安い、すなわち気軽に立ち上げられるのが利点じゃないでしょうか。詳しいことはWebで探してもらうとして、自分でやるつもりなら数万円の印紙代で設立可能なようです。司法書士さんに代行してもらっても15万円ぐらいではないでしょうか。やっている事業にもよるでしょうけど資本金なんか300万もあれば十分審査に通ります。うちの弟なんか資本金100万円で合同会社を作りました。また一人でも設立できますので、個人事業の気分で会社が設立できるというのもいいですね。そのせいで、ずっと個人事業の気分でやってますけど、実際そうなのだから仕方がありません。

節税面ではどうですか?というのが一番興味のあるところでしょうけど、おそらく節税は期待しない方が良いのではないでしょうかねぇ。従業員を抱えていると社会保険と厚生年金でガツンとイワされます。税金面で一番楽なのはたぶん白色申告だろうと思います。私が思うに個人事業で青色申告が一番不利という気がしますが、私は専門家ではないので、これは何ともいえません。

交際費を盛り放題して節税とか考えないほうがたぶん良いです。それをやるとおそらく税務署の良いカモになります。国税というのは膨大なデータを持っていて、統計を駆使して、こういう業種は利益がどれ位、どういう経費がどれ位、という統計データに照合して、その統計分布から外れているものをまずピックアップするようです。これは財務省の人に聞いたのでガセではないと思います。なので交際費をガツンと盛ってやれとか、誰でも考えつく猿知恵を実行するのは、控えたほうが無難かと思います。私は接待が必要な業種ではないし酒は飲みませんので、交際費がいつも2万円以下ぐらい。統計分布からは極端に低い方に外れていますけど、正直太郎というイメージも大切かもしれませんねぇ、でもそんなの全然関係ない気もします。

唯一の節税は、資本金1000万円未満の会社は、設立してから確か3年だったかな、消費税免除というところぐらいです。3年間は消費税を合法的にネコババできます。

良いこともあります。B to Bの取引がやりやすい。法人間の取引はやはり一応でも法人の方が断然話が早いです。また理由は私もわかりませんが、法人というのは個人と取引をしたがらないというケースが多いです。あと私は借り入れはないのですが、銀行から融資をしてもらうときでも、個人だとフリーローンという金利の馬鹿高いもの(14%ぐらい)しか受け付けてくれない場合が多いようですが、法人だと「0.5%で融資しますのでこの際1000万ぐらいどうでしょう?」という話を毎度毎度聞かされます。銀行というのは金のあるところとか回収ができるところにしか貸しませんので、法人個人というのはあまり関係ないかもしれません。
海外から荷物を運んでくる場合、会社宛でないと航空会社が荷物を積んでくれない、というケースも有りました。

その他の理由はちょっと恥ずかしいので言いたくないのですが、一度法人化してしまうと、大概の場合、個人事業形態に戻そうとは思わなくなるようです。この私でさえ、会社の運営など社会負担ばかりで実に馬鹿馬鹿しいと思いながらも、会社をやめるときは仕事を辞める時、すなわち事業をする限り法人という形態でやり続ける、それ以外は考えておりません。私だけではなく、私の周りもそうです。事業形態を法人から個人に戻したという話は聞いたことがありません。

不満を言わせたら延々と続きますけど、会社というのは一度始めたら続けられる限りはやめない、そういうものじゃないかな、と昨日も相談された方にお話をしたのでした。こんな感じで、なんだかんだでこの数年の間に私の周りで5人ぐらい法人化されております。現在もみなさん続けられてます。

私の周りはこんな感じで、仕方がないから法人化したぐらいの場合が多く、法人化しても、大概の場合は期待する程の良いことはないです。これは断固強調しておきます。どのみち利益の半分ぐらいは税金やらなんやら社会負担で持って行かれて脱力するのは、多分同じことじゃないかな、という気がします。